こんにちは、ネトヲです。
バイク好きの皆さんなら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
「良いバイクって一体何なのだろう?」と。
世の中には「乗りやすいバイクが良いバイクだ!」や「いやいや、パワーがないと!」とか、さまざまな意見が存在します。

特に「乗りやすい」とか「扱いやすい」という言葉は、バイクの評価において非常によく耳にするものです。
もちろん、それも正解の一つだと私も思います。
しかし、私が現在所有しているスズキのGSX-S750とHusqvarna 701 Supermotoという全く性格の違うバイクに乗ることで、「良いバイク」に対する私の考えは、少し違う角度から深まることになりました。

正直に言うと、「良いバイク」という客観的な評価と、「自分が心から『好きだ!』と思えるバイク」とは、必ずしもイコールではないと考えています。
今回はこの対象的なな2台を通して、「バイク選びはスペックだけではない」という持論と、「本当に自分が愛せるバイクをどうやって見つけるのか」という問いについて、私の経験を元にお話ししていきます。
世間一般で言われる「良いバイク」について
まず、世間一般でよく言われる「良いバイク」とは、どのようなバイクを指すのでしょうか。それは「乗りやすい」や「扱いやすい」、「クセがない」と評価されるバイクのことだと思います。
CB400SFなどの教習車とかがそれに該当しますね。

より具体的に言うと
- リニアなエンジン特性
- 思った通りにピタッと狙った場所に止まれるブレーキング性能
- ライダーが考えたラインを自然にトレースしてくれる、素直なハンドリング
- 不快な振動が少なく疲れにくい快適性
- ピードを出しても車体がドッシリと安定していること
です。
これらは、初心者・ベテランを問わず、乗り始めた瞬間から誰でも乗りこなせる懐の深さと言い換えられるかもしれません。
低回転から十分なトルクを発揮し、回転数に応じてリニアにパワーが出るエンジンと、SS譲りのシャーシを有するGSX-S750は、まさにこの「良いバイク」に該当します。

私はこれまでずっと単気筒にしか乗ってこなかったので、「4気筒に乗ってみたいな」という思いから、中古のGSX-S750を選びました。ちなみに試乗はしてません。
実際に乗ってみると、シフトチェンジを多少サボっても許容してくれる懐の深さ、シャーシのどっしり感からくる安心感など、乗ってみて直ぐに「これは良いバイクだなぁ」と感じました。
必ずしも「良いバイク」が最適解とは限らない
実用面が重視される四輪車と異なり、趣味性の高いバイクを「乗りやすさ」や「扱いやすさ」という単一のものさしで評価するのは、いささか疑問が残ります。
エンジンの特性がピーキーで荒々しかったり、ライダーがバイクに合わせて乗り方を変える必要があったり…一般的に考えれば「これはちょっと扱いにくいバイクだね」と言われてしまうような、尖ったキャラクターを持ったバイクも存在するのです。
…でも、不思議と、そういうバイクに、たまらなく心を奪われることがあります。

頭で考える「良い/悪い」」とか「便利/不便」は一旦置いておいて、理屈じゃないところで、「あ、このバイク、めちゃくちゃ好きだ!」と強く思う瞬間があるのです。これが、バイクの面白さであり、奥深さだと私は思います。
そして、私がまさにその「一般的な評価とは違う、理屈じゃない魅力」にどっぷりハマってしまったのが、私の愛車、701 Supermotoになります。

扱いにくいバイクの魅力
私はこの701 Supermotoを完全に「見た目」だけで購入しました。
「ビッグシングルだから」とか「足つきはどうかな」とか、そういったエンジンの特性や操作感については全く考慮していませんでした。
なんなら、このバイクに乗るために大型二輪免許を取得したほどです。
なので、試乗もできず納車日にぶっつけ本番でいきなり公道を走り出しました。
で、いざ納車日に乗ってみてどうだったかというと…
「あれ、 700ccもある単気筒ならもっと低回転からモリモリのトルクで走れて一般道でも5、6速に入れっぱなしでいけるんじゃないの?」
「多少ギアチェンジをサボっても許容してくれるんじゃないの?」
と、勝手に思い描いていたイメージとは裏腹に、驚きを隠せませんでした。

(まあ前車がセローだったのでそのイメージが抜けてなかったってのもある)
ビッグシングルからは想像もつかないとんでもなく繊細なアクセルコントロールが要求される操作性と、ちょっとエンストでもしようものなら、その凶暴的な足つきで、たちまち立ちゴケ不可避なシート高890mm!
そんな訳で「ああ…やっちまったな」と、買って早々、心の中でそう呟いたのを覚えています。
さらに追い打ちをかけるように、初回点検前にはまさかのエンジンからのオイル漏れ。
色々な意味で「とんでもないバイクを買ってしまった」と本気で思いました。
乗り続けたことで魅力に気づく
そんなワケで「別のバイクに乗り換えようか」と考えたこともありました。
ですが、私の中に701 Supermoto以外で本当に欲しいと思うバイクが見つからず、結局乗り換えることなく乗り続け、慣らし運転を終える頃にはこのバイクにも少しずつ慣れていきました。
このあたりから701 Supermotoの魅力に気づき始めます。
転機となったのは、伊豆スカイラインを走ったときでした。
早朝の、ほぼ誰も走っていない開けたワインディング。テンションが上がった私は、いつもよりエンジンにムチを入れ、回転数を高めに保ち、エンジンの「美味しいところ」を使って次々と現れるコーナーをクリアしていきました。それは馬力に任せて走るのとは違う、トルクで車体を前に押し出していく感覚でした。
上手くクリアできた時とイマイチだった時がはっきりと分かる。
だからこそ成功した時の気持ちよさ喜びはひとしおで、ここで「乗りこなす楽しさ」を知ったのです。
この乗りづらいバイクを「操っている」という実感、これこそ私がバイクに求めていた感覚でした。
また、私は普段電車で通勤していますが、気分を変えたい時にバイクで通勤することがあります。

その時に701 Supermotoに乗り、一度アクセルを捻ると、仕事での悩みやストレスが吹き飛び、落ち込んでいたテンションが嘘のように晴れていくのです。
乗りづらい、扱いづらいバイクだからこそ、バイクに乗っている間の時間の密度が濃く、たかが数十分の通勤路を走っただけで心が満たされます。
エンストしないようアクセルとクラッチを丁寧に操作して発進し、すぐにシフトアップするのではなく、ギクシャクしない回転数まである程度引っ張ってシフトアップ。
車速が落ちたら早め早めにシフトダウンと、まるで小排気量バイクのような乗り方をしつつ、前が開けたらアクセルを捻り、700cc単気筒ならではのその圧倒的で凶暴的な加速を味わう。
この極端なギャップが私にはたまらないです。
まとめ
今回は、優等生な「良いバイク」であるGSX-S750と、じゃじゃ馬な「扱いにくいバイク」701 Supermotoという対極の2台を通して、私なりのバイク選びの考え方をお話ししてきました。

一般的に評価される「乗りやすさ」や「スペック」は、バイクを選ぶ上での重要な指標であることは間違いありません。
GSX-S750がくれる安心感と万能感は紛れもなく「良いバイク」に該当しますが、バイクの魅力はそれだけではありません。
最初は後悔すら覚えた701 Supermotoでしたが、その扱いにくさゆえに「どうすれば上手く乗れるだろう?」と常に考え、試行錯誤を繰り返すことになりました。
そしてシンクロした瞬間に得られる「操る喜び」こそが理屈を超えた「好き」という感情の正体だったと思います。

もしあなたが今、バイク選びに悩んでいるのなら、ステマレビューが蔓延し、良いこと、表面的なことしか言わない雑誌やインプレ動画を見るのは暇つぶし程度に抑え、
- 理屈抜きに「カッコいい!」と思えるデザインか?
- エンジンをかけた時の音や振動に、心が震えるか?
- 「これを乗りこなせたら、絶対に楽しいだろうな」とワクワクするか?
など直感で「欲しい」と思えるバイクを選ぶのが、あなたにとっての正解になります。
701 Supermotoは某レビューサイトで、積載が無いだの長距離は向かないだの色々言われますが、それは思考が停止しているだけで、工夫次第でキャンプツーリングもできますし、長距離ツーリングもなんなくこなせます。

そういった面を含め、手がかかるからこそ愛情が湧き、良き相棒になってくれると思います。
「良いバイク」の定義は、人の数だけ存在します。
大事なのは、世間の評価は気にせず心から「こいつと走りたい!」と思えるかどうかです。
あなたが最高の相棒を見つけるための一助となれば幸いです。
