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どうもネトヲです。
今回は大手メディアしか取り上げられていない「Endeavor NA610」を仕事用PCとして使用した感想を書いていきます。
ワイが普段使用しているPC(比較対象)
- MacBook Pro(M3 Pro,18GB)
- ThinkStation P3 Tiny(Core i7-13700,32GB)
- LIFEBOOK WU2/E3(Core i7-1165G7,16GB)
選定理由
EPSON製
コレが一番デカいです。
周りを見渡せば、MacだのVAIOだのThinkPadだのLIFEBOOKだのと、間違いないブランドのパソコンを使っています。
かくいう私も「LIFEBOOK WU2/E3」を使っているので、その一味であるわけですが、ここ最近、LIFEBOOKを使っているエンジニアが増えた気がします。
確かにRJ-45やSIM、USB Type-Aを装備するという全部入りを実現しつつも最軽量モデルであれば600g台ということで、エンジニアに選ばれる理由はよく分かります。
だがしかし、本当にそれでいいでしょうか。いや否ッ
私は話のネタになるような誰も使ってない素晴らしいPCを発掘したい。
というわけで色々吟味した結果、EPSONのEndeavor NA610Eを発掘しました。

バッテリー取外し可能
正味、メーカが謳っているバッテリーの劣化云々なんてどうでもよく、バッテリー切れの時に予備のバッテリーへ換装することで、即、フル充電状態へ持っていくことができます。
なので私は本体付属バッテリーの他に予備を1つポチってます。

バッテリーを取外した状態であっても電源ケーブルが刺さってれば使えるのもいいですね。
他メーカもバッテリー取外し可能な機種があるのは分かってますが、EPSONという破壊力に加えバッテリー取外し可能っていう所に惹かれました。
バッテリー取外しの件について、メーカは
バッテリー内蔵型のモバイルPCの場合、お客様によるバッテリー交換が難しく、バッテリーが劣化したタイミングで買い替えを検討される方が多くおられます。
Endeavor NA610E -13.3型ユーザーによるバッテリー交換が可能。質量約960gの13.3型モバイルPC | エプソンダイレクトショップ
NA610Eは、ユーザーによる工具不要のバッテリー交換でPCの寿命を延ばし、快適なパフォーマンスを長期にわたり維持します。一般的な使い方だと、約3.6年で60%程度までバッテリー性能が低下しますが※、手軽にバッテリー交換ができることで、PC買い替え時に発生するコストをはじめ、CO2e排出量や工数なども削減でき、買い替え時に発生するダウンタイムを大きく抑えることが可能です。
と謳っていて、確かに間違いではないのですが、長期間PCを使っていて劣化するのはバッテリーだけではありませんよね。
キーボードがテカってきたり、ディスプレイ異常、外装のハゲなどあらゆる部品が劣化しています。
さらにCPUやメモリといったスペックについても日進月歩で進化している訳で、1世代変わるだけでもだいぶ処理速度や省電力性能が変わってきますよね。
個人的には5年も使ったPCに新品バッテリを装着するより新しいPC買ってくれと思いますがね。
USB Type-AとRJ-45ポート完備
エンジニアはエンジニアでも、60%くらいはインフラエンジニアのわたし。
出先やサーバ室内でコンソールケーブルを使いたい、有線LANで機器と接続したい等々あると思います。
そんなときNA610Eであれば変換ケーブル無しで直接ぶっさせます。


Macに追従する形でWindowsノートPCのインターフェースもゴリゴリ削られ、RJ-45はともかくとしてUSB Type-Aすら搭載してない機種もありますが、それが許されるのはタブレットPCくらいだと思いますね。せめてUSB Type-Aは付けてくれ。
DDR5メモリ32GB搭載+拡張可能
メモリはあったらあっただけいいというのは世の中の常識ですが、NA610Eのカスタマイズ時の最大メモリ搭載容量は32GB * 1です。

そう、たった32GBしか積めないと思いきや、1ストット空いているんですよね。
しかも半田付けタイプではなく、その辺で手に入るノートPC用メモリ(PC5-5200 DDR5 SDRAM Non-ECC)でOKです。
後述しますが、全体にもっさりしているので、メモリを大量に使うような重たい処理はそもそも向いていないと考えると、ケチって16GBにしてもいいかもですね。
960gというそこそこの軽さ
本体重量としては960gということで「軽くないが重たくはない」そんなイメージ。
ノートPCなのでそれなりに持ち出す機会はありますが、まあリュックサックにぶち込んでしまえば、600g台のPCと大差ないでしょうし、持ち出し先が電源があるようなところ(それこそ在宅勤務とか)であればバッテリーをパージし300gくらい軽くできます。
【本題】使ってみた感想
正直に言います。
オススメしません
その理由を述べていきます。
全体的に動作モッサリ
私はノートPCについては必要最低限のアプリしか入れない人間で、標準で入っているわけわかめなソフトウェアは速攻アンインストールします。

電源OFFからの起動は早いですが、起動後にアプリケーションを開こうとするとまあモッサリします。
たとえばMicrosoft Edgeの場合アプリケーションが開くまでに体感2倍かかり、さらにそこからWebサイトが表示されるまで時たま1分かかる場合もあります。
パワポを編集していて、調べ物をしようとしてブラウザを開くといつまで経ってもWebサイトが表示されない事があります。
そういう時は再起動かますと直るんですが、「お前(NA610E)最新のPCだよね、ふさけんなよ」って思います。
今のところ打合せ時に発生してないのでいいですが、もしそんなことが頻発するようであれば別のPCを使うことにするでしょう。
CPUがCore 7 150Uと決して性能が高いわけではないことは分かってますが、にしてもミニPCに採用されているintel N100よりも動作が遅いと感じる場面があります。

なにかアプリケーションを開こうとするとワンテンポ遅く、ブラウザで調べ物しようとするとページ読み込みに時間がかかるなど、とにかくストレスが溜まります。
試しにCinebench R23にてベンチマークを取ってみました。
電源を接続した状態で電源プランは「最適なパフォーマンス」です。

マルチコアの結果は脅威の4825とLIFEBOOK WU2/E3のCore i7-1165G7とタメ張ってます。ある意味すごい。
Core 7 150Uスコアをいくつかのベンチマークサイトを見るとCore 7 150Uは9000~10000は出ているので、明らかに劣った数値が出てきました。
Core 7 150Uのスペックは以下の通りです。
| コアの数 | 10 |
| Performance-coresの数 | 2 |
| Efficient-coresの数 | 8 |
| スレッド総数 | 12 |
| ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.4GHz |
| Performance-core最大ターボ・フリークエンシー | 5.4 GHz |
| Efficient-core のターボ・ブースト利用時の最大フリークエンシー | 4GHz |
| Performance-core基本周波数フリークエンシー | 1.8 GHz |
| Efficient-core基本フリークエンシー | 1.2 GHz |
| プロセッサーのベースパワー | 15 W |
| 最大ターボパワー | 55 W |
そして、NA610EのCinebench R23(マルチコア)実行時のCPUクロックは最大で3GHz、Cinebench R23(シングルコア)は4.5GHzとクロック周波数が明らかに低い、というより抑えられているように見えます。
BIOSを確認しましたがCPUのクロック周波数を可変するようなものや、性能制限しているような項目はありませんでした。
私は詳しくないので想像ではありますが、排熱やバッテリ駆動時間などを考慮した結果でしょうか。
正直、LIFEBOOK WU2/E3の方が性能が高いと思いますネ。
令和最新版タッチパッド
これが最も最悪なのですが、タッチパッドが良くないです。

指の動きに対してマウスカーソルが反応するまでに明らかな遅延があります。
私は初回セットアップのため電源を入れた瞬間に違和感を覚え、一通り設定した後ディスプレイのリフレッシュレートが低いのかなと思ってコンパネを開いてみたものの59.95Hzと、特段おかしく無く、んじゃあモニター自体に遅延があるのかなと思い、適当なマウスを繋げてみると遅延感じることなくカーソルが動きました。
また、キーボード入力している際に親指が誤ってタッチパッドに触れてしまう場面があるのですが、そんなときに限ってタッチパッド君が反応しやがるのでカーソルが突然どっかにいったりします。
タッチパッドに物理的なボタン(右/左クリック)がなく、タッチパッド下部を押し込むと右クリックと判定されるのですが、圧力が全くなく軽い力でクリック判定されます。
文章でどこまで伝わっているか分からないですが、NA610Eのタッチパッドはかなり質が悪く使っていてストレスが溜まります。
よくMacを使っている人が「Windowsのタッチパッドはクソ」と言いますが、Mac/Windowsどっちも普段使いしていて、不便なくタッチパッドを使っている私からしてもNA610Eのタッチパッドについては〇ソであると感じてしまいます。
もし購入前に実機に触る機会があったら絶対購入見送りにしていました。それくらい最悪です。はぁ。。
湯水のように減っていくバッテリー
メーカサイトではJEITA ver3.0にて動画再生で6.7時間バッテリーが持つと紹介されています。
では、実際にTeamsでWeb会議をするとどうなるかというと、Windowsの「省エネ機能」を発動させた状態で1時間で20%近くバッテリーがなくなっています。照度もギリギリまで暗くしています。
長めの会議に参加した際は、90%近くあったバッテリーが50%くらいまで減っていて「ホント新品のバッテリーかよ」と思いました。
ThinkPad X1 Carbon Gen13 Aura Editionというモデルの場合、ほぼ同じ重量、遙かに性能が高いCPUでありながらJEITA ver3.0にて動画再生で16時間以上持ち、予備のバッテリーをこさえたNA610Eよりも遙かにバッテリーが持ちます。
バッテリー内蔵式と交換式で比較するのはフェアじゃないなと思い、バッテリー交換式のレッツノートFVシリーズのスペックを見てみると同様の測定方法で9時間持つらしいです(コッチも遙かに性能が高いCPUだし)。
液晶の輝度をギリギリまで下げてバッテリーを延命させるのが日常となってしまったのが悲しいです。
これならレッツノート買えばよかったわ。。
ディスプレイの開く角度が浅すぎる
コレもメーカサイトに明記されてなかったのですが、MacBookレベルでディスプレイの開く角度が浅いです。

いくらIPS液晶で視野角が高いとは言えとはいえ、床に置いてPC操作をするとき、180度開くような機種と比較すると圧倒的に作業効率が落ちます。
特殊な用途ですが、ラッキングや設定のために一時的にサーバラックの1Uの間にPCを仮置きすることがあるのですが、ディスプレイが180度開く機種でればそのまま間にぶち込めるものの、NA610Eはいちいちディスプレイを閉じないといかず、こういった地味なところでストレスが溜まります。
その他、あぐらをかいて床にPCをおいて使うときもディスプレイが全然開かないことによる弊害があったります。ディスプレイはIPSなので視野角的には問題ないのですがなんか見づらい。
LIFEBOOK WU2/E3は180度開くのですが、NA610Eを使うようになって「ディスプレイが180度開くのってめちゃくちゃ便利だったんだな」と感じます。
充電器とケーブルの相性
ちゃんと検証したわけではないのですが65Wフルフルで出力できるACアダプターでないと充電されません。
そこで注意なのが、65W対応でありつつも他ポート構成となっている充電器で、複数ポートでそれぞれの機器に充電を行う際、1ポートあたりの出力が落ちてしまい65W出力できない奴です。↓こういうやつ。

また、充電器の他にも気を遣わないといけないのがケーブルです。
あるときNA610Eの充電のためMac付属のUSB-C to USB-Cケーブルを借りたのですが、一向に充電が始まらないという事がありまました(LIFEBOOK WU2/E3は当該ケーブルで充電できました)。
ケーブルを変えたところ問題無く充電が始まったのでわんちゃんケーブルも相性がある可能性があります。
突如発生するファン回転数100%
これも最悪なのですが、突拍子もなくファンの回転数が上がるタイミングがあります。
別にWIndowsアップデートをやっているわけでもなければアプリケーションの更新、ウイルス対策ソフトのスキャンなにもしてないです。
オフライン会議中に発生した時は参加者が皆私の方を振り向いてかなーり気まずかったです。
音質と音量が終わっている内蔵スピーカー
まあこれはしょうがない面ではありますが、内蔵スピーカーが使い物になりません。

底面のよくわかんない場所にはいちされたスピーカー君、音質が終わっているのは良いとしても音量を最大にしても音が小さくて使い物になりません。ThinkStation P3 Tinyと同等かそれ以下です。
まとめ
ということで、今回はEndeavor NA610Eを実使用レビューということで、色々と紹介していきました。
EPSONと言えば、私の記憶が正しければWindows XP時代からPCをリリースしている古参だと思いますが、どっかのYouTuberの言葉を借りるなら「本当に開発者はコレでいいと思ったのか」と感じる箇所が多かったです。
特にタッチパッドは、よく使うところだからこそ開発を煮詰める必要があると思うんですが、マウスカーソルの反応速度がマウスを使ったときとタッチパッドを使ったときで明らかに違うところ、タッチパッドを押し込んだと判定する圧力など、調整が未熟であると言わざるを得ません。
バッテリー取外ししたいならLet’s NoteなりDynabookがあります。軽量なモデルがいいならLIFEBOOKがあります。安価で性能が高いCPUを積んだPCは沢山あります。
Endeavor NA610Eが売りにしているポイント全てがONLYではなく、Commodityであり上位互換となるモデルが他社から出ています。
まず家電量販店では取扱のないモデルなので、デモ(検証)機を貸し出してもらう必要があるのですが、EPSONのHPをみると
自社または再販で年間10台以上購入見込みの法人のお客様
https://shop.epson.jp/pc/feature/lending/pc/
と、かなり条件が厳しく、実機に触る機会が限られている中ではありますが、選定については「NA610Eでなくてはいけない」という理由がない限り、慎重に吟味して進める必要があると思います。
